CROSS TALK

LENSでデザインする、ということ。

3つのデザイン事務所がひとつになって生まれた、LENS ASSOCIATES。
そこには今も、さまざまな経歴を持つメンバーが加わり続けています。
なぜ、LENSを選んだのか。LENSで何を得たのか。
転職組の2人に聞きました。

Art Director 原口 宗大 Munehiro Haraguchi

Art Director
原口 宗大 | Munehiro Haraguchi

2014年7月に入社。デザインに真剣に向き合える環境の中で、自分自身が楽しめていることを実感している。自分の子どもに自慢できるデザインをすることが目標!

Art Director 和田 尚樹  Naoki Wada

Graphic Designer
和田 尚樹 | Naoki Wada

美術系の大学を卒業後、印刷会社を経て、2016年1月入社。ゼロから産み出すことの苦しさを喜びに変換しながら日々奮闘中!

リーダーになる怖さ。

前職もデザイナーだったふたり。職種を変えずに、会社を変える。そこには、どんな理由があったのだろうか。
原口(H):LENSの前にいたのは、けっこう老舗のデザイン事務所です。若いメンバーばかりで、キャリア的にも年齢的にも僕がいちばん上。自然と、デザイナーチームのリーダーを務めることになりました。
アートディレクターという肩書きでこそないものの、デザインの方向性を決めるのはすべて自分。自由といえば自由な環境だった。ただ、そのことに危機感も抱いていた。
H:怖いですよね。自分が基準になるということは、自分以外から学ぶ機会がないということですから。僕自身だってまだまだ未熟なのに、若手の教育に時間を取られてなかなか勉強もできない。もちろん、教育は意義のある仕事です。リーダーとして期待されていることもうれしく思っていました。それでも「このままでいいんだろうか」という不安を消すことができなかった。
その頃、原口のいた事務所ではデザイナーの出入りが相次いだ。たまたま重なってしまっただけだが、教育係である原口の負担はふくらんでいく。
H:新人が入るたびに、仕事の進め方を1から教える。辞めてしまったら、また別の新人に同じことを教える。その繰り返しに、ちょっと疲れてしまったというのが本音です。もっとデザインに集中できる環境に身を置きたい。年齢的にも、いまを逃したら後はない。そう思い立ったのが転職のきっかけでした。

デザインに浸かりたい。

一方、印刷会社にデザイナーとして入社した和田は、これといった不満もなく仕事に打ち込んでいた。
和田(W):メインはチラシのデザインです。クライアントからの指定も細かいし、自由度が高いとは言えない。それでも仕事量は多かったので、「モノをつくりたい」という欲はしっかり満たせました。楽しかったですよ。
だが、ある経験をきっかけに和田は自分の仕事を見直す。東京のデザイン事務所への出向。和田の言葉を借りれば、そこは「ザ・デザイン事務所」の典型だった。
W:ひとつの仕事に「アイデアを100個出せ」と普通に言われる。しんどかったですね。しんどかったけど、「こんな世界もあるのか」と新鮮でした。印刷会社は「1案だけでいいよ」という正反対の方針でしたから。「1案いくらでクライアントと契約しているのに、2案出したらそのお金は誰が払うんだ」と。それが出向先では「1案で決まるわけがないだろ」とバッサリでした。
どちらの考え方も、クライアントを想えばこそ。あくまで方針の違いであって、正しいかどうかという話ではない。ただ和田には、デザインにどっぷり浸かる出向先のやり方が性に合った。
W:出向から戻ってきたら、あんなに充実していたはずの仕事がなんだか物足りなく思えました。転職がちらつき始めたのもそれからですね。もちろん、そのまま印刷会社で経験を積んで、自分なりのやり方を認めてもらえるまでに成長する、という手もあったと思います。でも、ちょっと先が見えにくい。そこまでの立場を確立するのが5年後なのか10年後なのか、それとも定年まで勤め上げてもムリなのか。ほかの会社に転職したほうが確実なんじゃないか、と考えるようになりました。

ブランディングを背負えるか。

転職の決意を固めるのと前後して、和田はとあるデザインセミナーに参加する。そこに講師として来場していたのが、LENS ASSOCIATES代表の矢野。学生時代から憧れていた矢野の誘いもあり、LENSは転職先の第一候補となった。
W:もちろん不安もありました。まず、制度や組織など、LENSが会社としてどこまで整っているのかという点。「せっかく転職するなら、一生そこにいられる会社に」と思っていましたから。ただこの不安は、事実さえ確認すれば解消できるもの。矢野としっかり話すことで、きれいに払拭できました。それより大きかったのは、「LENSの仕事に自分の能力が追いつくのか」という悩みですね。印刷会社でのデザインは、言ってしまえばフォーマットの上に成り立っていました。けれど、ブランディングを主軸とするLENSのデザインには枠がない。自分なりの提案を込めたアイデアを、ゼロから形にしなければならない。果たしてそんなことができるかな、と。
転職に向け、データの整理や引き継ぎといった準備を始めてからも、その悩みはつきまとった。
W:でも、LENSの環境こそが僕の求めていたものなので。成長したいなら飛び込むしかない、と自分に言い聞かせました(笑)。
同じような不安を、原口も感じていたという。じつはLENSには、原口の同級生が在籍している。その仕事ぶりを、LENSへの入社を決める前から原口はチェックし続けていた。
H:憧れていましたね。デザインのかっこよさはもちろん、持続性の高さもうらやましかった。僕がやっていたデザインは、一週間ほどで消費されてしまう広告がほとんどだったんです。でも、LENSのブランディングは長期にわたって存在し続けていく。ただ、そこまで背負えるデザインをつくるには、能力的にかなりのハードワークが必要なんだろうなと感じていました。それでも、飛び込んでみなければ始まらない。和田くんとまったく同じ気持ちです。

半年間の助走。

原口も和田も、退職を決めてからLENSに入社するまで半年ほどかかっている。引き継ぎの時間だ。
H:いちばん避けたかったのは、僕の退職でクライアントを不安にさせてしまうことです。そのためにも、たっぷり時間をかけて後任を教育しなければと考えていました。「これなら大丈夫」と納得できるまで体制を整えるのは、やっぱりそれなりに時間がかかります。
W:矢野からは「前の職場に迷惑をかけないように、きちんと片をつけてから来てほしい」と言われていましたし、実際に入社時期も区切られていなかった。打ち明けてしまうと、最初に退職届を出した時は「考え直してほしい」と受け取ってもらえなかったんです。当然といえば当然ですよね。ただでさえ忙しいデザインの現場から、一人抜けてしまうわけですから。快く送り出してもらうためにも、しっかりと筋を通せるだけの余裕があったのはありがたかったです。
その半年の間に、原口には大きなライフイベントがあった。子どもが生まれたのだ。
H:矢野からは、「奥さんも子どもも、まとめて面倒見るつもりでいるから安心してうちにくればいい」と励まされました。うれしかったですね。

喜ばせるために。

充分な引き継ぎ期間を経て、晴れてLENSの門をくぐった2人。原口は、その入社初日を鮮明に覚えている。
H:いきなりプレゼンに連れていかれたんです。びっくりしましたね(笑)。それまで、プレゼンにも撮影にも行ったことのないデザイナーでしたから。いま思えば、僕にこう教えたかったのかもしれません。「モニターの前だけが現場じゃない。それがLENSのデザイナーなんだよ」と。
和田はというと、下版直前のカタログデザインという「修羅場」が初仕事だった。
W:緊張感たっぷりでした(笑)。あの張り詰めた空気はいまでも覚えています。カタログも、LENSにとってはブランディングの根幹をなす大切なデザインワークです。ただの編集物ではなく、きちんと世界観があり、アイデアがある。その意味では、LENSの本質と言える部分に最初から触れることができたのかな、と思います。いや、当時はそこまで噛みしめている余裕はなかったですけど(笑)
ただ、2人とも最初から順風満帆とはいかなかった。慣れ親しんだ手法とはまったく違うLENSの環境に、戸惑うことも多かったという。
H:デザインのテイストにしても提案の中身にしても、どうしても過去のやり方を引きずってしまうんですよね。いちばん難しかったのは、クライアントといかに向き合えばいいのか、ということ。それまでは営業とのやりとりしかなかったので、いざクライアントを目の前にした時、求められているものをどう汲み取ればいいのかわからなかった。
近道はない。経験を重ねるしかない。それが原口の答え。ひとつひとつの案件に丁寧に向き合ううちに、「これは自分に合っているかもしれない」という実感が生まれた。
H:もともと僕はサプライズ好きです。誰かを喜ばせることがうれしい。LENSの仕事って、まさにそういうことだとだんだんわかってきました。クライアントが望むことに応えるのはもちろんですが、先回りして期待以上の答えを出す。最近になって、やっとそれができるようになってきたかなと思います。
和田にとっての壁は、印刷会社では重宝された「堅実さ」だった。
W:アイデアをうまく広げられないんです。「これなら間違いないだろう」というデザインに固執してしまって、思い切ったバリエーションを出せない。先輩がすごいアイデアでクライアントの満足度を上げているのを見ると、「自分も」と思うんですが。
H:和田くんの言うことはすごくよくわかりますね。「ここまでやっていいの?」と、自分で自分にブレーキをかけてしまう。でも、和田くんの仕事ぶりを見ていると、どんどんLENSらしくなっている気はしますね。

テイストより、スタンス。

原口のいう「LENSらしさ」とは何なのだろう。
H:自分で言っておいてなんですけど、難しいですね。社内のみんなともよく話すんですが、なかなか答えが出ません。ひとつだけ思うのは、「LENSらしさ」とはデザインのテイストではなく、スタンスなんじゃないかということ。デザインして終わり、納品して終わりではなく、そこからがスタート。クライアントに徹底的に寄り添いながら、プロジェクトもLENSも成長していく。ブランディングを通じて、クライアントとダイレクトにつながるLENSならではのスタンスだと思います。
原口はいま、アートディレクターとしてプロジェクトを動かす立場にある。
H:たとえば予算にも踏み込んで、全体を俯瞰する。LENSに入る数年前まで、ひたすらモニターの前で手を動かしていた自分とはまるで違いますね。ここまで一人で任せられることは、本当にいい経験になっていると思います。この経験をもとに後進をきっちりと育てて、クライアントに喜ばれるデザインをさらに生み出せるLENSにしていきたいと思っています。
W:僕はとにかく、自分のデザイン能力を上げていきたいですね。思いきり自由にデザインを試せるLENSの環境なら、それも早いんじゃないかと思います。「あんなデザインがしたい」と目標にできるような先輩も多いですし。将来的には、地元の盛り上がりに貢献できるようなデザインを手がけることが、いまの夢です。

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