ブランディングは長期戦。
信頼できるパートナーを見つけ
長期的な関係が大きな武器に。

名古屋市東区に位置するAMBER LAB(アンバーラボ)は、スポーツ医科学の観点からカラダを整えてくれるトレーニングジム。「パーソナルトレーニング」という言葉が名古屋エリアに浸透する以前から「一人ひとりのカラダの状態に合わせたトレーニング」を提案し、一般の方からプロアスリートまで多くのお客さまに支持されています。

2014年に接骨院を併設するかたちで開業したAMBER LABは、その後、パーソナルトレーニングに特化したジムとしてリブランディングを決行。そのタイミングで、オーナー兼代表トレーナーの生駒さんと、LENS ASSOCIATES(以下 LENS)は出会いました。

「当初からブランディングが必要だと思っていたから、ロゴやウェブサイトなどツールのすべてをLENSさんにお願いしました」と語る生駒さん。昨年のウェブサイトリニューアルがひと段落したことを機に、アートディレクターの原口と澤田と生駒さんの3人が集まり、ブランディングについて語り合いました。

左から、アートディレクター原口宗大、AMBER LAB代表 生駒英路さん、アートディレクター澤田星

AMBER LABの、理念や価値観を表現できるブランディングを

原口:改めて、生駒さんが最初にブランディングに取り組もうと思ったきっかけを教えてください。

生駒:現在のAMBER LABの前身が開業したのが2014年のこと。パーソナルトレーニングという概念自体がまだ一般的ではない時代で、お客さまにその価値を理解していただくのに苦心していました。そうしたなか、「このままではいけない」と、パーソナルトレーニングに特化したジムとしてリスタートを切ることを決意。自分たちのサービスの質の高さを視覚的に伝えるためにはブランディングが重要なのではと認識し始め、単に「看板やチラシをきれいにつくる」のではなく、AMBER LABの理念や価値観を表現できるものが必要だと考えたんです。

原口:まずはロゴ制作からスタートさせていただきましたが、生駒さんはヒアリングの前からブランドイメージをしっかり描かれていた印象があります。

生駒:キーワードとして挙げていたのは「クラシカル」かつ「普遍的」であること。流行に左右されず長く使えるものがいいなという思いもありましたし、私たちの提供するサービスは「人間の体」という普遍的なものを扱っていることを表現したいなと。流行りのトレーニング方法やダイエット法ではなく、人間の本質的な部分に着目したアプローチを大切にしていることを伝えたいと思っていました。

原口:生駒さんのお話から僕たちが注目したのは「進化」というキーワードでした。人間の体の構造や機能を理解するにはその進化の過程を知ることが重要であり、進化を象徴する生物として生駒さんから「アンモナイト」というヒントをいただき、ロゴのモチーフに採用しました。

生駒:アンモナイトは、化石として地層に残り、その時代を示す指標にもなります。ジムという業態とはあまり関連性を感じさせないアイコンであることは理解しつつ、時代を超えて存在し続ける普遍性を表現できるのではと思い、ひとつの要望としてお伝えさせていただきました。

原口:ご要望いただいたアンモナイトをモチーフにした案のほかにも方向性の異なる案をいくつか提案させていただきましたが、テーマがしっかりあったからこそ、アンモナイトの案はバリエーション展開もしやすかった記憶があります。

生駒:ロゴが完成するまでに、本当に多くの案を見せていただきましたよね。私はこだわりが強い方だと自覚していますので(笑)、LENSさんには大変ご苦労をおかけしたと思います。と同時に、ロゴをつくる過程で自分たちのブランドについて深く考える機会にもなりました。「なぜこのデザインなのか」「どういう意味を持たせたいのか」といった議論を重ねることで、AMBER LABの理念がより明確にできたと感謝しています。

原口:ありがとうございます。僕たちも、細部にまでこだわり抜く生駒さんの姿勢に応えることでよりよい方向にどんどんブラッシュアップできたと実感しています。最終的には、ロゴマークの細かな調整に加えて、ブランド名のフォントの選択や配置に「クラシカル」な要素を取り入れつつ、モダンな印象も併せ持つようバランスを取りました。色使いも、ゴールドを基調とすることで高級感と伝統的な印象を狙っています。

生駒:アンモナイトのモチーフがAMBER LABの「進化」と「普遍性」という概念を表現しつつ、洗練された雰囲気もありとても気に入っています。完成から時間が経った今も、自信を持ってこのロゴを使用しています。

ウェブリニューアルプロジェクトを、新メンバーの澤田が牽引

原口:昨年は、ウェブサイトリニューアルのプロジェクトで久々にご一緒できてうれしかったです。

生駒:数年前からそろそろウェブサイトをリニューアルしたいなとは思っていたのですが、なかなかまとまった時間がつくれずにいたんですよね…。そうしたなかコロナ禍があり、開店休業状態に。落ち着いたらお客さまは戻ってきてくれると自信があったので焦りはありませんでしたが、いい機会だと思い相談させていただきました。

原口:ウェブサイトを公開してから8年ほどが経っていたので、デザインのみならずユーザビリティや動線など、改善したほうがいい点がさまざまありました。また、メインターゲットとして30代、40代の女性を意識したいとの生駒さんの要望を受けて、プロジェクトメンバーに澤田をアサイン。アートディレクター兼グラフィックデザイナーとして、プロジェクトを進行してもらいました。

生駒:澤田さんが加わってくれたことによるポジティブな影響は大きかったですね。若い感性とアイデアを持ち込んでくれたおかげで、狙いたいターゲットに刺さるデザインになったと思います。

原口:澤田さんは、新規メンバーとしてプロジェクトに参加するにあたって難しかった点はありましたか。

澤田:長年の信頼関係があるチームに新しく入るということで最初は少し緊張感がありましたが、生駒さんが私の提案に真摯に耳を傾けてくださったおかげで、自信を持って進めることができました。パーソナルトレーニングという専門性の高い分野のデザインということで、業界の知識や用語を理解するのに少し手間取った部分があったものの、新しい学びの機会にもなり、非常に刺激的でした。

生駒:先入観がなかったからこそ、これまでのAMBER LABのイメージにはない、新しい提案をしていただけたと思います。また、最初のデザイン提案の段階から、澤田さんの「絶対によくしたい」という強い思いが伝わってきて、この人になら信頼して任せられるという確信が持てました。

澤田:そう言っていただけてうれしいです。デザイン提案にあたっては、AMBER LABさんが積み上げてきたブランドイメージを損なわないよう気をつけながら、今の時代にマッチしたデザインを意識しました。また、文字だけの説明では少し冷たい印象があるように感じたので、社内のデザイナーにイラストを依頼し、洗練された雰囲気はそのままに伝わりやすさをアップ。加えて、スマートフォンからのアクセスが増えている点を加味し、操作性・視認性の向上とユーザー体験の改善に努めました。

生駒:澤田さんとのやり取りを通じて、新しいアプローチや表現方法を知ることができましたし、デザインの細部へのこだわりが、全体の印象に大きな影響を与えることを改めて実感しました。色の微妙な調整や写真のセレクトにも最後までこだわっていただき、ありがとうございました。

成長や変化に合わせてブランディングを進化させていく

原口:ブランディングへの投資は決して小さな金額ではなかったかと思いますが、ブランディングの効果は感じていらっしゃいますか?

生駒:大きな出費であったことは間違いありませんが、今振り返ると、正しい選択だったと思っています。AMBER LABが開業して以降パーソナルトレーニングジムの数は劇的に増加していますが、AMBER LABが他のジムに埋もれることなく選ばれ続けている理由のひとつは、ブランディングに力を入れてきたから。単に「痩せられる」「筋肉がつく」といったPRだけでなく、私たちの理念や専門性が伝わるブランディングができたことで、「本当に質の高いサービスを求めるお客さま」、つまり「AMBER LABと相性のいいお客さま」に選んでいただけるようになりました。

原口:それを聞いて安心しました。生駒さんとの取り組みは僕たちにとっても非常に価値のある時間だったと感じていますし、生駒さんの強いこだわりと深い専門知識に応えることで澤田をはじめLENSのスキルも向上しました。また、今回のウェブリニューアルのように、AMBER LABさんの成長や変化に合わせてブランディングを進化させていく経験ができるのは、継続的なパートナーシップがあってこそ。そうした関係性を築けていることにも感謝しています。

生駒:たしかに、ブランディングは一度で終わるものではなく、状況や時代に応じて進化させていく必要があるのだと今回改めて感じました。だからこそ、LENSさんのように信頼できるパートナーを見つけ、長期的な関係を築くことは今後のビジネスにおいても大きな武器になると信じています。

また、LENSさん自身も成長を続けていて、若手への教育に力を入れたり、新しい技術やデザインのトレンドを積極的に取り入れています。そうした姿勢が心強いですし、自分もがんばらなければと思わされます。

原口:これからもそう言っていただけるようがんばります。最後に、今後の展望についてお聞かせください。

生駒:AMBER LABでは、現在のパーソナルトレーニング事業の拡大だけでなく、新しい事業領域への挑戦も考えています。フィットネス機器の開発やオンラインサービスの強化など、いくつかのアイデアを温め中ですのでまた相談させてください。

原口:アイデアベースのディスカッションも大歓迎ですので、またぜひお声がけください。今後ともよろしくお願いします!