ポジティブもネガティブも。
数多くのフィードバックから学び、
進化するチームに。

「予防歯科」を中心とした歯科経営によりリピーターを増やし、安定した経営を実現する「デンタルフィットネス」という考え方。2020年より「デンタルフィットネス導入コンサルティング」がスタートし、今や全国160以上の歯科医院に導入されています。

デンタルフィットネスを運営する株式会社ハーモニー代表の高橋さんとLENS ASSOCIATES(以下 LENS)が出会ったのは、デンタルフィットネス導入コンサルティングの立ち上げから1年ほどが経ったころ。ちょうど、高橋さんが一冊目の本を執筆しているタイミングでした。「出版を皮切りに、もっと多くの歯科医院にデンタルフィットネスを広めていきたい」。そう語る高橋さんとともに、まずは院長向けのパンフレットと販促用ウェブサイトを制作。続いて、ロゴを含むデンタルフィットネスのブランディング、デンタルフィットネスを導入した医院で使用するコンセプトブックならびにマニュアル制作をおこないました。

ブランディングパートナーの橘とアートディレクターの澤田がハーモニー本社のある香川県にお邪魔し、代表の高橋さん、中石さんとともにプロジェクト全体を振り返りました。

左から、アートディレクター澤田星、株式会社ハーモニー取締役 中石有紀さん、株式会社ハーモニー代表兼しん治歯科医院 COO/事務長 高橋翔太さん、ブランディングパートナー橘春希

パンフレット制作で「信頼できる」と確信し、ロゴ制作を依頼

橘:高橋さんとは、出会ってすぐにさまざまなプロジェクトが走り出しましたよね。

高橋:まずは院長向けパンフレットと販促用ウェブサイト、そのあとでロゴと名刺をつくってもらいました。本当は順番が逆なんでしょうけど、まずは「デンタルフィットネスという商品を売るためのツールをつくりたい」という目的でLENSさんに出会い、できあがったものを見てセンスがいいなと感じたので、ロゴをはじめとしたブランディングもお願いすることにしました。

澤田:ありがとうございます。パンフレットをつくってすぐに「デンタルフィットネスのロゴ制作もお願いしたい」と依頼していただいたので、すごくうれしかったのを覚えています。

高橋:歯科医院に向けたコンサルティング事業ってとてもニッチな市場なうえ、決済者のほとんどは歯科医院を経営されている院長さんです。LENSさんがつくってくれたパンフレットを見たとき、初めての取り組みにもかかわらず「歯科医院の院長が好む雰囲気」をすごくよくつかんでくれているなと思ったんですよね。

僕はセミナーなど人前でしゃべる機会も多く、資料をつくるたびに「キーカラーやロゴがあったら便利なのにな」と思っていたのですが、日々の忙しさもあってロゴ制作は後回しになっていたんです。そうしたなかLENSさんにパンフレットをつくってもらい、上がってきたデザインを見て「この空気感がわかる会社なら僕が求めるロゴをつくってくれるはず」と思い、依頼させていただきました。たしか最初のオーダーの仕方も、「たぶんすでに方向性は理解してくれていると思うので、LENSさんが描いているそのままのイメージでつくってください」というざっくりとしたものだった気がします(笑)

歯科医院の院長に向けて、デンタルフィットネスを紹介するパンフレット。ここから高橋さんとの取り引きがスタートした。

澤田:たしかに高橋さんがおっしゃるように、最初に院長向けパンフレットをつくっていたからこそ「デンタルフィットネス」というものを理解したうえでロゴ制作に臨めたように思います。LENSがロゴをつくる際は、まずは方向性をいくつか提示したあとだんだんと最終案にまで絞り込んでいくのですが、高橋さんはいつも希望や指示が明確なので非常に進めやすかったです。

高橋:僕は、なにかをつくるときに背景に理由がないのが嫌なんですね。ロゴに関しても、ただ見栄えがいいだけのデザインは求めていなくて、「なぜそうなっているのか」と説明できるものが欲しかった。ロゴの方向性を決める際に提案いただいた「DとFをモチーフにしながら、前に進んでいく印象を与える」というコンセプトにも非常に共感しましたし、最終案を詰める際、LENSさんは細かな部分まで手を抜かず、角度の調整や検証をしたうえで提案をしてくれました。そこまでやってくれるんだという驚きと、真剣に向き合ってくれていることが伝わってきてうれしかったですね。

最終的に決定したデンタルフィットネスのロゴ。名刺ではUV加工を施して立体的に

実践マニュアルリニューアルの依頼を受け、コンセプトブックを提案

橘:その後、デンタルフィットネスを導入された医院の歯科衛生士さんに配る「コンセプトブック」と「実践マニュアル」の制作に入りました。もともと使用していた実践マニュアルが古くなってきたからリニューアルしたい、というのが当初のご依頼内容でしたよね。

中石:デンタルフィットネスのベースとなっているのは、高橋の父である高橋伸治先生が院長を務める「しん治歯科医院」で、30年以上前から取り組んでいる予防歯科の仕組みです。それを体系化して「デンタルフィットネス」と名付け、全国の歯科医院に導入し始めたのが2020年から。導入医院で働いている歯科衛生士さんにデンタルフィットネスの手順や考え方を知ってもらうため、しん治歯科医院で培ってきたノウハウを「実践マニュアル」として冊子にまとめ、配布していました。ですが、導入クリニックが増えるにつれデンタルフィットネスの内容がどんどんアップデートされていったため、足りない部分は自分たちでつくった資料で補いながら運用していたんです。そうしたタイミングでLENSさんと出会ったので、これはいい機会だと思い、実践マニュアルのリニューアルをお願いすることに決めました。

デンタルフィットネスは歯科衛生士さんのマインドセットや全面的な協力が不可欠なんですが、当時はまだ現在のような知名度がなかったので、導入した歯科医院のなかには否定的に捉えている人も少なくありませんでした。実践マニュアルのキックオフにてそうした状況をお伝えしたところ、提案いただいたのが歯科衛生士のマインドセットのための「コンセプトブック」でした。

インタビューは、株式会社ハーモニーのおしゃれすぎる社長室でおこなわれました!高橋さんの趣味が詰まった空間です

澤田:高橋さんと中石さんのお話を聞いて、「どんなに優秀な歯科衛生士であっても、デンタルフィットネスにネガティブなイメージを抱いたままではぜったいに成功しない」との言葉が印象的で。実践マニュアルの効果をもっと高めるためにも、まずは歯科衛生士さんたちに「デンタルフィットネスの導入は、自分自身にとっても歯科医院にとってもポジティブな取り組みだ」と思ってもらう必要があるのではないかと思ったんです。「院長はだまされているのでは…」「仕事がもっと忙しくなるなら嫌だな…」など実際の声を参考にコピーを作成し、イラストとポップなデザインで不信感を払拭できるよう意識しました。

中石:コンセプトブックの制作過程において歯科衛生士の気持ちや思いにしっかり向き合えたこともよかったですし、実践マニュアルを再構成する際にもいい影響を与えてくれたと思います。おかげさまで最近はデンタルフィットネスそのものの認知が高まってきて、最初からポジティブな印象を持って取り組んでくれる歯科衛生士さんが増えてきました。コンセプトブックに頼らずとも、新しく導入する歯科医院のスタッフのみなさんがこれまでの実例を見聞きしただけで「わたしたちもがんばろう」と思ってくれることが多いので、数年前とはずいぶん変わったなあ…と感慨深いです。

最後までこだわりぬいたのは「期待に応えたい」との思いがあったから

橘:実践マニュアルについては、周囲の反応はいかがでしょうか。

高橋:デンタルフィットネスが立ち上がったばっかりのころに導入してくださった先生が、完成したマニュアルを見て「すごい!」と感動していました。なにせ、当時は手作り感満載の資料で運用していたので(笑)。

僕としても今回の実践マニュアルに関しては「妥協することなくつくりきれたな」という満足感があり、変な話、完成してから見返したことはほとんどありません。以前のマニュアルももちろん僕たちが監修してつくったものではあったのですが、運用をしながら「あれも足りない」「これも足りない」と別の資料で補完しながら進めていたので、マニュアルそのものをあまり信頼できていなかったんです。今回のマニュアルには、デンタルフィットネス導入コンサルティングを実際に運用するなかで浮かび上がった不足部分やアップデートをすべて入れ込めたので、僕たちが伝えたいこととの差分がなくなりました。また、デザイン的にもかなり読みやすくなり、現場で活用してくれている歯科衛生士さんたちの使い勝手も向上したと思います。

中石:実際、歯科衛生士さんから「すごくわかりやすい」「何度も読み返してます」って言われます。実務や具体的事例はもちろん、デンタルフィットネスの考え方やめざすべきゴールについても網羅しているので、今やなくてはならない一冊になっています。

澤田:最後まで色味やイラストにこだわったので、歯科衛生士さんに受け入れられていると聞いて本当にうれしいです。ただ、完成までにかなりご迷惑をおかけしてしまい、反省も大きいです…。

橘:当初の予定よりもかなり時間がかかってしまったうえ、わざわざ名古屋に足を運んでいただき直接修正指示を出していただくなど、さまざまご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。わたしたちの側からそれを言うなと思われてしまうかもしれないのですが、このプロジェクトはLENSのチーム体制のあり方をもう一度見直す機会になりましたし、非常に大きな学びをいただきました。改めて、ありがとうございます。

中石:私は澤田さんがクリエイティブに携わってくれて本当に心強かったです。時間はかかりましたが最後までこちらの思いをしっかり汲み取ってカタチにしてくれたことに感謝していますし、年齢が近いことに加えて、仕事における自己実現ややりたいことの方向性がお互い似ていると感じる瞬間があってうれしかったんですよね。

澤田:プロジェクトを振り返ると、高橋さんと中石さんの思いに応えたいという気持ちがあったから完走できたように思います。中石さんからフィードバックをいただくたびに、伝えるべきことはしっかりお伝えいただいたうえでフォローもしてくださっていることがわかるので、ありがたいな、手を抜いたらいけないなと何度も思わされました。いろんな仕事が重なりうまくいっていないなと落ち込んでいたときに中石さんとお食事する機会があったんですけど、そのときに「澤田さんの気持ちは伝わってますよ」と声をかけてもらえたことが本当にうれしくて、今も思い出して泣きそうです。

中石:そうだったんですね!?個人的には、澤田さんといろんな話ができてすごく楽しい夜だったなあという思い出です(笑)

高橋:制作中はいろいろと厳しいことも言いましたが、結果的に非常にいいものができあがって満足しています。自分語りになってしまいますが…実は僕は20代のころ広告代理店にいまして、お金も経験も人脈もないなか、どうやったら仕事を獲得できるかと日々模索していました。そうしていろいろ試行錯誤をするなかで気づいたのは、目の前の仕事に対して全力でアクセルを踏み続けられれば結果はついてくるのだということ。そのスタンスは、今も変わっていません。最初にLENSさんとお会いしたとき「この会社にお願いしたいな」と思ったのは、そうした気持ちを持っている会社だと感じたから。今後も期待しています。

おかげさまでデンタルフィットネスを多くの歯科医院に広めることができ、最近は新たなチャレンジをスタートさせています。またいろいろとご協力ください。

橘:こちらこそぜひ!本日はありがとうございました。