2年半を走り抜けた100周年事業。
社員みんなで創り上げた
シヤチハタの新しい未来。

2023年春にスタートしたシヤチハタ株式会社の100周年記念プロジェクト。「会社主導ではなく、従業員一丸となって100周年を盛り上げたい」という社長の想いから始まった取り組みは、2年半にわたる長い道のりを経て2025年11月にフィナーレを迎えました。

社内プロジェクトチーム「飛躍隊」とLENS ASSOCIATES(以下 LENS)が二人三脚で歩んできた本プロジェクト終了から数ヶ月。今だからこそ語れる苦労、葛藤、そして達成感とは。飛躍隊の運営を支えたメンバーとLENSの2名が一堂に会し、2年半を振り返りました。

プロジェクトが立ち上がってから1年が経ったタイミングでの、振り返りの記事もご覧ください。
次の100年に向かって。社員みんなでつくりあげるシヤチハタの100周年記念プロジェクト。

(上段左から)ブランディングディレクター井戸田莉菜、シヤチハタ株式会社 取締役 林淳治さん、ロジスティクス本部 山田勝さん、ブランディングパートナー上野莉央(下段左から)シヤチハタ株式会社 研究開発本部 柴田蓮也さん、法務・人財開発部 100周年推進課 松田孝明さん、緑谷洋一さん、郡知世さん

プロジェクトを通じて実感できた「伴走」という言葉の意味

井戸田:本日はお忙しい中、ありがとうございます。プロジェクト終了から少し時間が経ちましたが、振り返ってみていかがでしょうか。

松田さん(以下 松田):正直、終わった直後は安堵感の方が強かったですね(笑)。バタバタしていたら終わっていた、という感じで。「本当に成功するんだろうか」と不安に駆られたことも一度や二度ではありませんでしたから。

でも今こうして振り返ると、本当に濃密な2年半だったなと実感しています。運営側もそうですが、参加してくれたメンバーもみんな「もう終わったのか」という感覚だったんじゃないでしょうか。

郡さん(以下 郡):そうですね。本当に走り回っていたので、全部を覚えている自信はありません(笑)。でも本当に、いい経験ができたと思っています。

緑谷さん(以下 緑谷):私は40年近くこの会社でいろんなプロジェクトに関わってきましたが、今回のプロジェクトを通じて「伴走」という言葉の意味を実感することができました。正直に言うと、最初にLENSさんから「伴走します」と言われたとき、あまりピンときていなかったんです。

これまでも広告代理店や企画会社、印刷会社といろいろなところと仕事をしてきましたが、基本的には「提案を受けて実行する」というスタイルばかりでした。でも井戸田さんと上野さんは、本当に中に入り込んで幅広く手掛けてくださった。

上野:ありがとうございます。外からご提案するという存在ではなく、私たち自身もシヤチハタさんの一員だという気持ちを持って、一緒に進んでいきたいと常に思っていました。そのように言っていただけてとても嬉しいです。

緑谷:それをね、見事に体現されて。最初はLENSさんに距離感を感じていたメンバーも、気づけば「まるで社員同士みたい」という関係性になっていたと思います。

林さん(以下 林):私も最初のワークショップで井戸田さんを見たとき、「あれ、うちにあんな社員いたっけ」って本気で思いましたから(笑)。それくらい当事者意識を持って取り組んでくださっていました。

LENSさんはシヤチハタにはない思考でいろんなクエスチョンを投げかけてくれるので、特に年齢が近いメンバーには大きな刺激になっていたと思います。

100周年だからこそ、社員に向けた内容に

井戸田:当初から、今回の100周年記念事業は、これまでの周年事業とは方向性を変えたいとのことで進行してきました。

緑谷:そうなんです。私は65周年のときから5年ごとにずっと周年行事を手掛けてきたんですが、これまではすべて、国内外の取引先企業のみなさまをおもてなしするのが第一目的でした。だから100周年も、正直「今まで以上にお客さまに対して盛大にやるのかな」と思っていたんです。

林:私もそう思っていたのですが、社長が「今回は社員およびその家族のための100周年だ」と宣言されたのを機に大きく方向性を変えることになりました。

緑谷:取引先からも長らく期待されてきた事業ですので、それをなくすというのはかなり大きな覚悟だったと思います。一方で、「事業は人なり」という理念を本当に大切にされている方なので、お客さまの心を動かすのは現場で働いてくれている一人ひとりの従業員なんだということを、100周年で改めて発信したいのだなという強い思いを感じました。

林:特に今、印鑑を取り巻く環境が変わっている中で、シヤチハタはさまざまな変革を進めています。そうしたタイミングで、社内に向けてエネルギーを注いだ本プロジェクトは非常に意義があったと思います。

井戸田:100周年プロジェクトが始まる前に運営チームのみなさんと何度も話し合いを行ない、2023年7月から定期ワークショップをスタートしました。まずは12月までの半年間で、活動の大きな計画を立て、取り組みの概要を全社に発信できる状態まで持っていくことを目標に掲げました。

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松田:ワークショップではまず会社を理解すること、会社の未来について考えることからスタートしたのですが、安定とチャレンジは両立できるんだと言語化できたことに非常に意味があったと思います。「シヤチハタは、自分たちのやりたいことをちゃんと口に出して行動できる会社だと感じて入社しました」との声もあり、だから行動しないともったいないよねとみんなで語り合う姿がすごく印象的でした。

また、飛躍隊からの発案で全社アンケートを取ったのですが、予想以上にアンケートが集まり、100周年に対するみなさんの熱い思いを知ることができましたし、アンケートを取ったことによって、100周年記念プロジェクトを身近に感じてもらうステップにもなりました。
あくまでも飛躍隊は「社員の代表」という位置づけなんですよね。このメンバーだけで完結するのではなく、他の従業員全員を巻き込んでいきたいという目標は当初から掲げていたので、そのための提案がチームから挙がってきたことが感慨深かったです。

井戸田:回数を重ねるたびに「どう行動するか」までのイメージがどんどん具体的になっていきましたよね。例えば最初のころは「会社のここが不満」「ここに課題感があるよね」で終わっていた会話が、「どうやったら変えられるんだろう」と、自然にいろんなアイデアが出てくるようになったと感じています。

もちろんすぐに解決できる課題ばかりではないので、アイデアが出るたびいろんな壁にぶつかったんですけど、「じゃあこうしてみたらどうだろう」と、諦めずにみんなで考える文化が自然に生まれたような気がします。

郡:最終的には346ものアイデアが集まり、目的ごとでグルーピングしていき、17の企画に集約したのち、テーマごとで4つのチームを結成。「社長プレゼン」と銘打って、経営陣に向けたプレゼンテーションを行ないました。精査してものを決め打ちで出すのではなく、メンバーから出た意見を全部オープンにして、すべて見てもらおうという意図がありました。

林:飛躍隊のメンバーが直接発表する場を設けたのは本当によかったと感じました。それまでにも何度かワークショップを見学してはいたものの、それぞれの内容を企画者の肉声で聞くと、やっぱり伝わる温度が違いますよね。

数もそうですが、内容としても自分のイメージしていたところを、かなり超えていました。みんなのプレゼンテーションを見て、「いいプロジェクトになりそうだ」と期待が高まりました。

松田:その後それぞれの内容をさらに精査し、スローガンや周年ロゴ、ポスターなどを作る「制作チーム」、各種周年イベントを担う「イベントチーム」、社内の仕組みや制度を変えていく「仕組みチーム」、事業所の空間リニューアルや一般向けの工場見学を牽引する「リノベーションチーム」の4つに分かれて進めていくことになりました。

個々の得意を活かし、プロジェクトにおいて不可欠な存在に

松田:そのタイミングで飛躍隊に入ってくれたのが柴田です。忙しいのは知っているけれど手伝ってもらえないだろうかと思っていたときに、柴田から声をかけてくれました。

柴田:実はプロジェクトが始まる前から相談には乗っていたのですがちょっと手伝える状況ではなかったんですよね。ただ、プロジェクトが進んでいく中で、社内からいろいろな声が聞こえてくるようになって。ネガティブな意見というか、「飛躍隊って何やってるんだろう」みたいな声も正直ありました。松田さんたちが一生懸命やっているのは知っていたので、そういった声を耳にする中で「自分も何か力になれることがあるんじゃないか」と手を挙げました。

松田:柴田がサブプロジェクトリーダーとして入ってくれたことで、体制がかなり安定しました。ほかにも、それぞれのチームリーダーに自ら立候補してくれる若手も多くて、本当に助かりましたね。

同じく、途中から参画してくれたのが山田さんです。長らく世界中の現地法人に勤務し、2025年6月末に帰国後、飛躍隊を手伝ってくれることになりました。

山田さん(以下 山田):アメリカから帰ってきてすぐ飛躍隊に任命されました。在米中に100周年にまつわるメールや周年ロゴやステッカーや缶バッジが送られてきたので100周年の意識はありましたが、まさか自分が関わることになるとは思ってもいませんでした。

私の役割は、いわばさまざまな調整役。すでにさまざまな企画が具現化している段階だったので、それらが円滑に進むような立ち回りが求められました。具体的には、各チームの進捗管理や、イベント準備における職制との連携、それから社内への周知活動のサポートなどですね。緑谷さんと一緒に動くことが多かったので、緑谷さんの豊富な経験から学ぶことも多かったです。

松田:山田さんは海外勤務が長かったので、ある意味客観的に社内を見られる立場でもあったんですよね。

山田:そうですね。少し距離を置いて見られたからこそ、気づけることもあったのかもしれません。

井戸田:2025年11月に開催された「ALLシヤチハタDay」は、まさにプロジェクトの集大成でしたね。

松田:はい。金曜夜の「Thanks Party(サンクスパーティ)」と、土曜の「Challenge Fes(チャレンジフェス)」の2部構成で開催しました。社員とその家族、合わせて1,410名が集まってくれて。

林:本当にすごかったですね。従来の周年イベントはお客さまをもてなすことが中心でしたが、今回は社員とその家族が主役。会場の一体感は忘れられないですね。

郡:Thanks Partyでは社長からの感謝の言葉があり、これまでの100年を振り返る映像も投影しました。社員のみんなが「自分たちでここまでやってきたんだ」と実感できる時間になったと思います。

山田:2日目のChallenge Fesでは、ギネス記録に挑戦。「世界最大面積の印影が押せる浸透印」という記録で、見事達成できました。

柴田:準備は本当に大変でしたが、当日全員で一つの大きな印影を作り上げたときの達成感は言葉にできませんでしたね。

緑谷:ご家族も含めて集まってもらえたというのが大きかったですね。子どもたちも楽しそうにしていて、「お父さん、お母さんが働いている会社ってこういうところなんだ」って感じてもらえたんじゃないかな。

松田:そしてこのイベントが終わった後、飛躍隊ではない社員たちから「もう1回やりたいね」という声が上がったんです。それが何よりの成功の証だと思いました。

得られたのは、「自分たちの力で成功させた」という実感

林:改めて、LENSさんとの協働を振り返ると、シヤチハタの社員の潜在能力をすごく活性化していただいたなと思います。それが、みんなからの「もう1回やりたいね」という声に繋がったんだと思います。

進行やみんなを導く手法など、本当に見習うべき点が多かったです。「主体性を持たせるには」という視点でも、学ぶべきことが多かったプロジェクトでした。

加えて驚いたのは、井戸田さんの活躍はもちろんですが、上野さんがプロジェクトに入られた当初はLENS入社前の学生アルバイトだったと後から聞いて、学生の立場でこれだけのことをされていたなんてとびっくりしました。

上野:早い段階から携わらせていただけたことに、自分自身とても感謝しています。

このプロジェクトを通して一番学んだのは、「人と向き合う」ことの大切さです。定例ミーティングも形式的な報告の場ではなく、みんなで一つのテーブルを囲みながら意見を出し合う。そうした温度感や熱量が、イベントが近づくにつれてどんどん高まっていきました。

何より、飛躍隊のみなさんは本当に愛のある方々でしたね。大きな組織だからこそ、さまざまな意見があったと思いますが、そこにしっかり向き合い、突き放すのではなく巻き込んでいく。その姿勢がとても印象的でした。

そのためには良い仲間の存在はもちろん、会社への愛情も欠かせない。そうしたものがあってこそ成り立つのだと、強く実感しました。

柴田:LENSさんからは、自分にはない視点をたくさん学ばせていただきました。仕事への向き合い方、人との向き合い方も含めて、本当に感謝しています。「やらない理由」ではなく「どうやったらできるか」を考える思考法を、これからも大切にしていきたいです。

山田:一人ひとりの特徴ややるべきことを瞬時に掴んで、それをプロとしての視点で具体化していく。「あえて外の視点」だからこそできることだと思いましたし、本当に大切な存在でした。

100周年以降も、こういうプロジェクトが生まれるような会社であってほしいですね。そのときにはまた、LENSさんのような社外の視点を持った方にも入っていただくことで、活動の範囲や可能性が広がると思います。

郡:定例ミーティングでは毎回、本当に寄り添っていただきました。膨大な情報を整理してくださったり、新しい観点での進め方を提案してくださったり、全社への周知のためのチラシや動画を作っていただいたりもしました。プロジェクトにずっと伴走いただいているからこそ、飛躍隊の一員として同じ視点で活動いただけて、本当にありがたかったです。

部署をまたいだコミュニケーション、全社を巻き込む施策の進め方、一人ひとりの主体性を引き出すマネジメントなどこのプロジェクトで得た経験を、今後の業務にも活かしていきたいです。

松田:LENSさんに対しては、期待通り、いや期待以上で大満足しています。個人的なことなんですが、私はLENSさんに対して尊敬と憧れを持っているんです。

「こういうことやったらもっとよくなるじゃん」って思いついても、なかなか動けないものじゃないですか。それをLENSの社員さんたちはみな生き生きと取り組まれている。一緒にお仕事できて本当に気持ち良かったです。

僕はシヤチハタが大好きで、この会社に成長させてもらったという感謝があります。だからこそ、シヤチハタもみんなと一緒に、LENSさんのように前向きに動いていける会社にしていきたい。LENSさんは、私にとってお手本であり、目標なんです。

林:今回のプロジェクトで得られた一番大きなものは、「自分たちの力で成功させた」という実感だと思います。これからも、社員一人ひとりが主体性を持って動ける会社にしていきたいですね。

緑谷:先行きの見えない今だからこそ、未来を創る従業員と共に、勇気、誇り、主体性を抱く。100周年記念事業の意義はそこにあったと思います。

100周年のスローガンは「さあ、もう ひと旗。シヤチハタ100周年。」でした。ステートメントの中に「100年の土台の上で、ただ足踏みしてはいられない。受け継いだ土台に、新しい旗を立てよう。」という一節があるんですが、まさにこれからが本番だと思っています。

井戸田:私たちも引き続き、いろんな形でお付き合いさせていただければと思います。本日はありがとうございました。