運ぶ、だけじゃない会社。
どう伝えるか。
何を伝えるか。

神奈川県川崎市に本社を構える株式会社テラモトは、精密機器の運送・梱包・倉庫管理を得意とする総合物流ソリューション企業です。総合物流事業をベースに、電気通信、製造、人材派遣へと事業領域を拡大し、創業から90年以上にわたって「運ぶ」を軸にした多角的なサービスを展開してきました。
LENS ASSOCIATES(以下 LENS)との出会いは、高校生向けの採用パンフレット制作がきっかけ。その後、タグラインとステートメントの制作、コーポレートサイトのフルリニューアルへとプロジェクトは広がっていきました。

高校生に届く採用パンフレットをつくりたい
北上匡良さん(以下 北上):高校生の採用を強化するという方針が会社からあり、まずは自分たちが使っている採用ツールを見直すことから始めました。高卒採用には独特のルールがあって、企業が学生と直接接触できません。先生を通じて資料を届けて、そこから生徒さんに渡してもらう形なので、学校に届ける紙の資料が第一接点になるんですよね。高校生は先生がすすめてくれた会社に応募するケースも多いので、まず先生の目に留まることが重要なんです。
原口:そういった背景を北上さんにおうかがいし、先生にも学生さんにも興味を持ってもらえて、応募のきっかけにつながるにはどうすればいいのかというところを考えました。
北上:いろいろな制作会社さんをご紹介いただいて、各社からプレゼンを受けましたが、LENSさんのプレゼンを聞いたとき、アイデアや発想が頭一つ抜けているなと感じました。
原口:ありがとうございます。実は最初の提案では、デザインのテイストよりも、手に取ったときのインパクトを重視したんです。トムソン加工という複雑な型抜きを使った変形の仕様を最初から盛り込んでいて、形そのもので目を引こうという方向性を提案しました。

宮本:最初は運送業がメインだと思っていたんですが、実際にお話をうかがうと、電気通信事業や製造事業、人材派遣まで、本当にいろいろなことをされている。じゃあそれをどうやって学生さんに伝えるかと考えたとき、テラモトさんが私たちの生活の中にいるんだよ、ということをイラストで表現できたらいいなと思ったんです。一つの街をつくって、その中にテラモトさんのいろいろな事業が溶け込んでいるような世界観にしたいなと。
原口:写真でリアルを見せるアプローチも当然あるんですけど、今回は事業の幅広さを一枚で見せたかったので、イラストの方が合っていると判断しました。紙面も限られていますし、ページものではなくて変形の一枚に収めるフォーマットだったので、あまり複雑にしすぎないように。最初のフックとして、テラモトさんとして伝えたい情報をどこまで絞り込めるかというのは、かなり意識したところです。まずは仕事自体に興味を持ってもらって、「ここなら自分の働き方に合ってそうかな」と思ってもらえるような構成を目指しました。
宮本:イラストのタッチは、学生さん向けだからといってかわいすぎず、かといって説明的にもなりすぎないように、少しデフォルメした方向で模索しました。テラモトさんのトラックのディテールにはこだわって、カラーリングもちゃんと再現しました。町並みもトラックが映えるように彩度を抑えたりしています。

北上:トラックのイラストは本当にびっくりしましたね。撮影のときにたまたま停まっていた車両を撮っていただいたんですけど、出来上がったイラストを見たら、クレーンの形も大きさの違いも全部しっかり描き分けてある。「あれ、こんなに細かく再現されてるんですか」と驚きました。
宮本:撮影した素材をもとに色味やディテールを吟味しながら描いていきました。描いていてすごく楽しかったです!
北上:出来上がったパンフレットを学校に持っていったら、まずは先生方の反応がすごくポジティブだったんです。「こんな珍しいパンフレットは見たことない」と。記憶に残っているから「面白いパンフレットだよ」と言いながら生徒さんに渡してくれて、そこから「じゃあ求人票を見てみましょう」という流れにつながっているようです。
寺本美幸さん(以下 寺本):直接生徒さんとお会いしたときにも、「かわいいですね」と言っていただいたり、写真を見て「こういう人たちが働いてるんだ」と興味を持ってくださったり、すごく大きな反響を感じています。
北上:他社さんの採用パンフレットと比較しても、かなり目を引くものが完成したなと自負しています(笑)。先生方は大量の求人資料を抱えていらっしゃるので、パンフレットが届いてもすぐにファイリングされてしまうことが多いんですよ。でもうちのパンフレットは、先生から話題にしてくださって、そこから生徒さんにも届いていく。本当に、LENSさんのアイディアと引き出しのおかげだなと思っています。
原口:そう言っていただけてうれしいです!制作プロセスを振り返ると、仕様やイラストの方向性もすぐに決まりましたし、お互いの意思が最初からとても合っている感覚があり制作しやすかったです。
北上:私たちもそう思っていました。意思疎通って言葉だけでは伝えにくいものだと思うんです。「こういうイメージにしてほしい」というニュアンスってなかなかうまく伝わらないこともあるものですけど、今回はどのポイントもスムーズに進んでいった印象があります。
原口:何かをつくるときって、現場の意見と経営者側の「これを載せたい、あれは載せたくない」がぶつかることも少なくないのですが、テラモトさんの場合はそういうことがほとんどなく、制作サイドとしても進めやすかったです。
寺本:原口さんも宮本さんも本当に真面目で、仕事が丁寧な方たち、という印象です。「この日までにこれをください」と言ったら、ちゃんとその日までに出してくださる。当たり前のことのようですけど、当たり前のことをしていただけるからこそ信頼関係を築けていると思っています。
原口:ありがとうございます。こちらからしても、北上さんと寺本さんがうまく社内の情報を引き出して、必要な素材や情報を素早く手配してくださったからこそスムーズに進められたと感謝しています。

Webサイトリニューアルで「何屋さんかわからない」を払拭
原口:Webサイトのリニューアルについては、採用パンフレットを進めている段階から、少しずつご提案をさせていただきました。
以前のWebサイトを見たとき率直に感じたのは、事業の一覧はあるものの、テラモトさんが結局何を提供してくれるのかということと、テラモトさんという会社自体がどんな想いを持った会社なのかというイメージが見えにくいな、ということ。そのあたりを整備して、メッセージをしっかり届ける必要があると感じました。
北上:それは私も思っていたことで、他社から見ても「テラモトという会社は何をやっているかイマイチわからない」みたいな状態だったと思うんです。Webサイトをリニューアルしたことで、うちの会社がこういうことをやっているんだと、すごくはっきりしたなと思います。
原口:Webサイトの制作に先立って、まずタグラインとステートメントを制作させていただきました。Webサイトをリニューアルすることをきっかけに、会社としての言葉を整理しましょうと。
寺本:タグライン制作にあたって、私も社長のインタビューに同席させていただいたんですが、そこで初めて社長の想いを直接聞けたのがよかったなと感じています。いちばん印象に残ったのは、社員が持ってきた仕事や提案を一旦否定せずに、全部やってみようとするという姿勢でした。だから「期待にこたえて、どこまでも」というタグラインを見たときに、この短いワードのなかに社長の考え方が凝縮されていると実感しました。

北上:最初、このタグラインには最後に句点「。」がついていたんです。それを見た経営陣から「句点を取りたい」という意見があがったんですよね。「どこまでも」で止めてしまうんじゃなくて、まだまだ続いていくイメージを与えたいと。
原口:そのご意見、すごく覚えています。句点をつけるかつけないかで、言葉のニュアンスが全然変わる視点は、僕たちにとってもすごく勉強になりました。「どこまでも。」で完結するのか、「どこまでも」で余韻を残すのか。テラモトさんの想いを考えたとき、句点を外すほうが確かにふさわしかったですし、一緒につくり上げている感覚がありうれしかったです。
寺本:社内でこのステートメントを見せ合ったとき、部署に関係なくいろいろな方が「これ、すごく腑に落ちるね」とおっしゃってくれました。会社の中でぼんやりしていたものが、はっきりとした言葉になったという感覚が、社内全体にあったように思います。社長は、いざとなれば自分でトラックに乗るよ!という方なんです。このステートメントは、社長ならびにこの会社の「一緒にやっていこう」という姿勢をあらわしてくれていると思います。
「わからない」から「問い合わせが来る」Webサイトに
宮本:Webサイトのデザインで特に意識したのは、保有車両一覧のページの扱いです。テラモトさんにとって、たくさんの車両を持っていることが強みであり誇りでもある。そのページをどう見せるかは、原口さんとかなり話し合いました。
原口:車両の数も多いですし、日々入れ替わっていくので、テラモトさん自身で更新できるような仕組みを構築しました。どういう情報を、どういう順番で見せていくのか。車のサイズや種類によって分類して、直感的に探せるようにするという設計は、かなり検討しました。
寺本:車両一覧ページは社長もすごく気に入っていて、社内からも好評です。今も新しい車種が増えているので、どんどん載せていきたいと思っています。
宮本:採用ページでは、パンフレットのイラストをそのままWebに転用するのではなく、Webならではの動きをつけています。トラックがスクロールに合わせて波打つ道を走っていくアニメーションなんですが、これはコーダーさんにかなり頑張っていただきました。まっすぐ走らせるだけなら簡単なんですけど、道のうねりに合わせてトラックの角度も変えながら滑らかに動かすとなると、ピクセル単位での調整が必要で。
原口:静止画では表現できない動きを実現できるのがWebのメリットです。企業としての落ち着きは保ちつつ、遊ぶところはしっかり遊ぶというバランスを意識しました。
北上:実はWebサイトをリニューアルしてから、問い合わせフォームからの依頼が増えているんです。今まではそういう流れが一切なかったわけですから、Webサイトの力の大きさを実感しています。Webサイトの内容、雰囲気から、「この会社だったら丁寧に運んでくれそうだな」と感じてくださっているのだと思います。
原口:それは本当にうれしいですね。Webサイトをつくる目的の一つに、テラモトさんが何をしてくれる会社なのかを明確にするということがありましたので。その効果が問い合わせという形で表れているのは、制作者としても大きな手応えを感じます。

社員の家族にも届いた「テラモトらしさ」。100周年に向けて仕掛けをもっと
寺本:社員のご家族から反応があったのもうれしかったですね。リニューアルしたWebサイトを見て、「テラモトって運送だけじゃなくて、他にもこんなにいろいろやってるんだね」と知っていただけました。テラモトで働いている従業員のご家族にとっては、個々人の具体的な仕事については知っていても、会社全体としてどういう事業をやっているかは意外と知らなかったりするんです。
北上:社員の中からも「事業の全体像がはっきりした」という声があり、Webサイトを通じて、会社のことを改めて伝える機会になったように思います。
宮本:制作を通じて、皆さんがイキイキと働いていらっしゃる姿を世の中に広げるお手伝いができたことがすごくうれしかったです。自分の得意なイラストも活かせましたし、テラモトさんの仕事を知れば知るほど、もっと伝えたいという気持ちが湧いてきました。
北上:すでにご相談させていただいているんですが、弊社は6年後に100周年を迎えるんです。LENSさんは周年事業の知見も幅広いと聞いていますので、また相談にのってください。
寺本:車両にステッカーを貼るのが好きなドライバーさんも多いので、パンフレットのイラストを使ったオリジナルステッカーや、ミニカーをつくるのもいいですよね。
北上:加えて、今後はデジタルコンテンツにも力を入れていきたいと考えています。就職フェアのような合同説明会に参加すると、一度パンフレットを手にとるものの戻してしまう学生さんも多いんですよね。例えばそこにQRコードがあって、スマホで読み取るとコンテンツが見られるような導線をつくれたらおもしろいかなと考えています。
原口:僕も、採用パンフレットでテラモトさんを知って、Webサイトで会社の魅力を外に発信して、それがまた次の採用や仕事の依頼につながっていく、というような循環をちゃんと回していけたらいいなと思っています。テラモトさんの仕事は社会のインフラに直結していますし、働きがいや魅力をちゃんと外に発信していけるよう、引き続きご一緒できたらうれしいです。
北上:LENSさんのアイディアの力、デザインの力には全幅の信頼を寄せています。これからもよろしくお願いします。
【クライアント】株式会社テラモト
【プロジェクト詳細】 タグライン|ステートメント|採用パンフレット|Webサイト|プロジェクト詳細はこちら