case 01
エコ資材weeco
目指すはトップシェア。
ビジュアルをキーに
新ブランドのポジションを確立。
- CLIENT
- 株式会社 折兼
- PRODUCTS
- エコ資材(環境に配慮した食品関連資材)
BACKGROUND背景
株式会社 折兼は、明治20年創業、名古屋市に本社を置く食品関連資材の専門商社。食品関連資材とは食品やお惣菜の容器、トレー、袋、ランチボックス、カトラリーなどを指し、主な取引先は外食産業やスーパーマーケット。取り扱いの7割はプラスチックの商材だが、近い将来、紙やバガス(サトウキビの搾りかす)、生分解性プラスチックを使うなど環境に配慮した「エコ資材」が主流になると思われ、社長は新しいカタログの発行をきっかけにこの領域でトップシェアを狙いたいと考えている。
STARTはじまり

ひとまず制作が必要なのは「エコ資材のカタログ」だが、社長から下されたミッションは「エコ資材といえば、折兼」のイメージ醸成。それには従来の「折兼=安価なプラ容器」のイメージを払拭しなければならない。また、エコ資材カタログは業界大手の他社が先行して発行しており、クオリティも高い。エコ資材分野でトップシェアを獲るためには、これと全く違うものとして「折兼のエコ資材」を市場にデビューさせることが不可欠。 「これはブランティングの課題だ」と直感した担当者さまからレンズアソシエイツ(LENS)にお声がけいただき、2019年末、プロジェクトがスタートした。
- ゴール
- 「エコ資材=折兼」の認知
- 課 題
- エコ資材のコストに見合う価値付け/プラスチック製品を否定しないメッセージ
- 制作物
- カタログ その他
STORYストーリー


ブランドのポジショニング
ブランディングとは言わば、ターゲット層に商品や企業を好きになってもらい、選んでもらう道筋をつくること。ターゲットの明確化がスタートラインになる。今回このブランドを支持してもらいたいターゲットは、大手スーパーマーケットや外食チェーンの購買担当者。その人たち全員が「すてき」と感じてくれるボジションを確立すれば、トップシェアは自ずと見えてくる。 それを表す共通言語としてクリエイティブディレクターが示したのは、某有名カフェチェーン。大多数の人に支持されるおしゃれさや環境への意識の高さが、「折兼のエコ資材」の市場での立ち位置にぴたりとマッチする。「なるほど」。目指すポジションとイメージが、クライアントを含むチーム全員に一瞬で共有された。

ネーミング・タグライン
並行して進められたのがネーミング。商品や事業は固有の名前がつけられて初めて明確に他と区別され、世界にひとつのブランドとして歩き出す。 折兼が目指すエコとは、「できることからみんなで一緒に。プラスチックをいきなり全否定せず、利点を生かして、環境への配慮をカタチにすること」。その思想を端的に伝えるべく考案された膨大な量のネーミングから、LENS内部で7案、折兼担当者さまの間で3案に絞り込まれ、最有力の1案をさり気なく真ん中に配置して、社長プレゼンが行われた。
- ネーミング
- WEECO(ウィーコ)
- タグライン
- いっしょに、エコ。(最終形/いっしょに、いいエコ。)
選考基準は「わかりやすい、覚えやすい、愛される」。ブランディングの過程では、ネーミングはプロジェクトチームの呼称にもなる。折兼のエコ資材に「weeco」という名前がついて、プロジェクトは一気に加速する。

ビジュアル撮影、デザイン
ブランディングの中核を担う以上、ふつうの商材カタログにはできない。エコ容器においしそうな料理が盛られたシーンがページをめくってもめくっても続く、映画のパンフレットのようなカタログをつくる。ビジュアルはウェブサイトやムービーに展開してブランドのストーリーを広げていく。 クリエイティブディレクターが描いた戦略に従って実制作がスタート。鍵となる写真撮影は、コロナ禍中ではあったが十分すぎる感染対策のもとで行われた。 業界屈指のスタイリスト集団と熱意あるフォトグラファーをアサインし、広々としたカフェ店内に3つのセットを組み、シーン撮影と商材撮影を同時進行。「ダメ、リアルじゃない」「ありえない、やり直して」。クリエイティブディレクターのスタッフへの要求は厳しく、立ち会った折兼のメンバーがたじろぐほど。 制作の現場においては、クライアントのOKよりも遥か先にクリエイティブの基準を設定する。高い目標を一緒に目指す仲間になるために。 撮影を終え、700点を超える商品写真のレイアウト作業を経てweecoのカタログは完成し、2020年5月末に無事納品。引き合いが多く瞬く間に増刷となり、エコ資材の売り上げは急伸した。
NEXT START新たなはじまり

「外出自粛でテイクアウト需要が急増したのもありますが、商材をweecoというブランドにして打ち出したのが大きかったと思います」。と、折兼の担当者さま。「営業マンが、実物を持参しても見てくれない取引先にweecoのカタログをお渡ししたところ、翌日にサンプル発注があったとか。問い合わせも多く “折兼=エコ”のイメージができてきたと感じます」。 ターゲットにブランドの認知・理解から購入までを一気に促すのは、当初からの狙い。スムーズに発注できるよう、カタログの構成、商材ページのデザインも計算しつくした。折兼とLENSの二人三脚で得られた成果。しかし、ブランディングはここからが本番。 既にweecoを模倣したと思われるカタログが数多く出回り、折兼は追われる立場に。エコ資材の市場が急拡大するなか、weeco独自の思想に共感する顧客をいかに増やしていくか。ムービー・ウェブサイトの制作を進めながら、ブランディングは次のフェーズへ移ろうとしている。
レンズアソシエイツクリエイティブディレクター 矢野まさつぐ/プロデューサー 大須田 臣
クライアントさんにグッとスイッチを入れてもらわないと、ブランディングはスタートできない。そのためには、先に自分たちのスイッチを入れること。weecoの商材は見た瞬間にスイッチが入った。世の中から求められているし、先行他社が足場を作ってくれていたのも却ってよかったと思います。折兼の社長さまの先見の明ですね。

CREDIT
- Creative Director
- 矢野 まさつぐ
- Producer
- 大須田 臣
- Project Manager
- 朝田 和揮
吉田 真一
- Graphic Designer
- 和田 尚樹
- Copywriter
- 古屋 弥生
- Photographer
- 田ノ岡 宏明
井貝 隆史
高須 祐吾
- Stylist
- MAISONETTEinc.
COMMENTSコメント
株式会社折兼ホールディングス
営業サポート事業部
営業企画G 兼 広報課
課長大岩 滋貴さま
LENSさんに任せれば大丈夫という安心感はありつつ、撮影などの全工程に立ち会いました。自分のなかでブランドをつくる情熱が違ってくるはずだし、その情熱を持った人が社内にいることが、ブランドを育てていく上で何よりも大事だと思ったから。今後はweeco採用によるメリットをより具体的に顧客に伝えていきたいと考えています。