今、伝えたいこと。

代表取締役/
クリエイティブディレクター矢野まさつぐ

こんにちは。代表の矢野です。

あなたから見て、LENSはどのように映っていますか。もし、怖そうなイメージに映っているとしたら、「そんなことないよ」と伝えたい。もし、和気藹々と楽しそうなイメージに映っているなら、それもやっぱり「そんなことないよ」と伝えたい。これは我々の会社だけでなく、どこの会社でもいろいろな顔を持っていて、一つのイメージだけで会社を判断することはできません。だから代表のボクがここで語るLENSの姿なんて、あくまで主観であり偏った見方でしかないけれど、LENSをなぜ作ったのか、という話題から、なるべく真実に近い形で語っていきたいと思います。

2014年1月6日(色の日)にLENSを設立しました。その時ボクは39歳でした。その10年前の2004年にボクは、LENSの前身であるOPENENDS(オープンエンズ)というデザインスタジオを設立し、3年後の2007年10月1日(デザインの日・メガネの日・国際コーヒーの日)に法人化して、30代の丸10年間、朝から朝まで働き、文字通りがむしゃらに駆け抜けました。

もちろん、そのままOPENENDSとして11年目を迎えるということもできたのですが、何か変化を起こしたいと思い、とりあえずオフィスを移転させることを決めました。最初に候補に上がったのは、OPENEDSのすぐ近くにあった元縫製工場の廃墟でした。とっても広くて、とってもボロいその元工場を、リノベーションすることをイメージして毎日ワクワクしていたのですが、残念ながらその物件の持ち主と折り合いが付かずに、断念することになりました。

実は、移転を計画したのは別の理由もありました。それは「もっと仕事の幅を広げたい」という想いと「もっと深くクライアントに関わりたい」そして「本当のブランディング会社を作りたい」というものでした。OPENENDSも創業のタイミングからブランディングを謳ってはいましたが、実際は、楽しそうな仕事ならなんでもやる、「デザインのバカ、三人衆」という感じの小さなデザインスタジオでした。そんなデザインのバカでも、多くの人の目に触れる大きな案件にも関わらせていただいたし、業界の人が羨むような国際的なデザイン賞もたくさん受賞させていただきました。しかしそれが実際の実力以上の過大評価だということは自分が一番理解していたし、なんとなく自分らしくない道に進み始めているような違和感を感じていました。側から見たらボクがそんなことで悩んでいることは分からなかったと思うし、きっと説明しても理解できなかったと思います。

ただ、次第にその悩みは大きくなり、他人から見たら「いい仕事」に見えるような案件に関わることや、実力以上に評価されることに耐えられなくなってきていました。これが本当のLENS設立の理由です。新しく会社を立ち上げることで、前述の違和感を払拭し、信念を取り戻そうと考えました。

そのためには、社名と場所を変えるだけではダメだと考え、友人の会社2社を誘い、3社が合体する形で新会社を立ち上げるという壮大な構想を打ち立てました。

同じことを繰り返さないために、ボクはLENS設立するときにいくつかの「やらないこと」を決めました。その中で一番大きいのが「下請け案件はやらない」というものでした。学生の方は、「直請け」「下請け」「孫請け」の意味や違いがあまり分からないと思いますが、ボクにとってはこれをもう一度固く決意することが新会社を作り、クリエイターとしてリスタートする上で最も重要な要素でした。というのも実は、OPENENDSも設立時は同じ思いで立ち上げたのですが、当時は目の前にきたチャンスを全てものにしようと取り組んでいたため、気がつくと広告代理店さんからの案件に経営が支えられ、会社の評価はそれらの代理店案件によるものになっていました。そんなつもりはなかったのに、目先の高揚感や評価を得に行ったせいで、気がつくと魂を売ってしまっていたんだと思います(とはいえ、それらの仕事によって会社も個人も成長できたのも事実ですし、心の底から感謝をしています)。

こんな想いで設立したLENSが辿ってきた、この10年間の軌跡は、長くなるのでここでは割愛しますが、生半可な気持ちで設立した会社じゃないということは理解していただけたでしょうか。

ここまで、長々とボクがLENS設立の思い出話を書くのには意味があります。ネタをバラすと、ボクは「きっと中途半端な気持ちでLENSの入社を考えている人は、社長のこんな長い昔話は読まないだろう」という仮説を立てました。ここまで読んでくれた方、お付き合いいただきありがとうございます。あなたの本気、受け取りましたよ。

さぁ、どうですか。LENS、怖い会社だと思われましたでしょうか。ご安心ください。そんなことはありませんよ。とっても楽しい会社です。ただ同時に、とっても厳しい会社であることは事実です。ここで誤解してほしくないのは、単にボクが厳しいのではなく(厳しいけど)、そもそもLENSの環境が厳しいということです。我々は前述の通り、下請けの案件は一切引き受けないので、常に目の前にはクライアント様がいます。我々はさまざまなクライアント様の課題を解決に導く医者のような存在であり、多くの企業の命をお預かりしているようなものなんです。だからLENSのメンバーは全員、常に真剣です。この緊張感が、自己をより高く、より早く成長させますし、個人の成長が、LENSの成長に直結します。

想像してみてください。プールに一滴の墨汁が落ちた様子を。想像してみてください。水を入れたペットボトルの蓋に一滴の墨汁が落ちた様子を。

LENSは、まだペットボトルの蓋です。たった1人の個性が、一気に会社を変えるインパクトになります。実際今までも、一滴ずつさまざまな色が加わり、こうしてLENSというデザインファームが存在するんです。あくまでボクもその一滴に過ぎません。

あなたの個性が一滴加わることで、LENSがどうなるのか楽しみにしています。そして器の大きさを一緒に大きくしていきましょう。待っています!