時代を先取りしたブランディングで
「エコ資材といえば折兼」
のイメージを確立。

フードビジネスの総合商社である折兼さまから「エコ資材に特化したカタログを制作したい」との相談を受けたことから本プロジェクトがスタートしました。ブランド名は、「みんなで力を合わせて、みんなで取り組もう」との意味を込めた「weeco(ウィーコ:we+eco)」に決定。ブランドの世界観を伝える構成と、カタログ用に撮り下ろした写真を大胆に使ったレイアウトが評判を呼び、現在vol.5を制作中です。近年はカタログ以外への展開も進めており、社内外から「エコ資材といえばweeco」と評価されるなどブランドとしての存在感を高めています。

今回は、weecoの立ち上げよりかかわってくださっている折兼の澤田なつ子さんをお招きし、LENS ASSOCIATES(以下 LENS)との取り組みと、weecoの今後の展望について語り合いました。

社外からのポジティブな反応に驚きと喜び

原口:折兼さんとのお付き合いももう5年以上になりますね。

澤田なつ子さん(以下 澤田):こちらこそありがとうございます。weecoのプロジェクトが発足してからそんなにも経ったんですね。実を言うと当時、社長から「エコ資材をまとめてブランド化したい」と言われたときはあまりピンと来ていなかったんです(笑)。

というのも、結局のところ私たちは商社なので、営業側からすると小売店や飲食店といった取引先が求めるものを用意する、という側面が強くて。当時はまだ使い捨て資材に対する環境への配慮が今ほど注目されていませんでしたし、価格面でいうとどうしてもエコ資材は既存の商品よりも割高になってしまうので、積極的に勧めることが難しいという実情もありました。社長から、今後消費者はますます環境への配慮に敏感になっていくはずだし、他社よりも早いタイミングでそうした商品を取りそろえているとアピールすることは折兼の強みになると説明を受け、非常に納得したのを覚えています。

商品が載っているだけの一般的なカタログはこれまでも制作してきましたが、「ブランドの世界観を表現するカタログ」というイメージがこちら側にはまったくなくて。vol.1の制作時は、LENSさんに言われることをひたすらにこなしていたような記憶があります(笑)

原口:折兼さんは当初よりこちらからの提案をポジティブに受け止めてくださったので、非常に進めやすかったです。商品手配や撮影立会いなど、手のかかるお願いにも嫌な顔なく応えていただいたおかげでvol.1から高いクオリティが実現できたと思っています。

澤田:weecoが完成していちばん驚いたのは、社外の反応でした。商品を掲載したメーカーさんから「こんなにおしゃれな冊子に載せてもらってうれしい」と声をかけていただいたり、取引先さんから「すごくすてきなカタログですね」とご評価いただいたり。他社さんがweecoの世界観に似た販促物をつくっているのを目にしたときは、悔しさよりも、自分たちが想像している以上にweecoを見てくれている人が多いんだとうれしくなりました(笑)

原口:vol.1を発行してすぐにコロナ禍が始まったため、vol.02ではデリバリー 、テイクアウト需要の高まりを見据えた内容に。vol.3、vol.4では企画ページを増やすなどいろいろと変化してきましたが、印象に残っている内容はありますか。

双方からのアイデアで読み物ページがだんだんと増え、vol.1から比べると約1.5倍のボリュームに

澤田:実際にweecoで紹介している商品を使用してくださっているカフェオーナーへの取材です。ふだん私たちはエンドユーザーと話す機会はほぼないので、貴重な体験になりました。取材先もLENSさんが見つけてくださったんですよね。

澤田星(以下 星):weecoの商品を使っている飲食店への取材はかねてより実現したい企画のひとつでしたので、折兼さんからゴーサインをいただけてうれしかったです。了承をいただいてからすぐにリサーチを開始し、SNSやウェブサイトをひとつずつチェックしながら、店舗の雰囲気やコンセプトなどをもとにweecoに合う店舗を絞り込んでいきました。

澤田:オーナーさんの人柄も経歴もすごく魅力的で、さすがLENSさんは人選も上手だなと感心しました。一方で、このカタログはあくまでも商材の紹介を目的とした冊子なので、インタビュー記事をweecoの世界観にどのようにマッチさせるんだろうと少し心配もしていたんです。でも、担当いただいたLENSのコピーライターの古屋さんの引き出し力と構成力のおかげですごくすてきなコンテンツになりました。取材させていただいたお店は弊社のオンラインショップを利用してくださっているのですが、ECの担当者も「こんなに喜んでいただけているなんて」と感激していました。

星:回を重ねるごとに折兼さんからもいろんなアイデアをいただけて、どんどんいい媒体になっていると感じます。資材の流行やトレンドはやはり現場の人でないとわからないことも多いので、意見交換の場はとても勉強になりますし楽しいです。

原口:現在制作中のvol.5では「1つの商材で他ジャンルの料理の盛り付けを特集する」という企画も折兼さんからいただいたアイデアでしたね。 

澤田:「ランチボックスと名前が付いているが、それ以外にもさまざまな用途があることを表現してほしい」との要望から実現した企画です。ごはんとおかずだけじゃなくて、ボリューム感のあるバゲットサンドや背の高いキッシュなども潰れずに持ち運べますよという利用シーンを、写真とデザインで表現していただきました。お客様に自由な発想で選んでほしいとの思いと同時に、弊社の営業担当も「ランチボックス」という名前に引っ張られて柔軟な提案につながりづらいといった課題があり、商品カテゴリにかかわらず、取引先の困りごとを解決する提案のきっかけになればうれしいですね。

weecoというブランドが企業イメージを高めてくれた

澤田:社内から「weecoのカタログにもっとたくさん商品を載せてほしい」という声も挙がっていますし、着実にweecoというブランドが育ってきていることがうれしいですね。

原口:最近は、カタログ以外でも「weeco」の名前を活用してくださっていますよね。

澤田:企業名ではなくweecoブランドを全面に打ち出して展示会に参加したり、weecoのオリジナルカレンダーをつくったり、先日はLENSさんにもご協力いただいてブランドムービーを制作しました。採用活動においても、弊社に足を運んでくれる学生さんはみなweecoのカタログを手にしていると耳にしますし、weecoというブランドが折兼の企業イメージを高めてくれていることを実感しています。

澤田:採算面のみを考えれば、weecoで紹介しているエコ資材は、弊社全体の取扱量と比較するとまだまだ大きくはありません。けれど、weecoというブランドを通じて世間に「エコ資材といえば折兼」とのイメージを先んじて植え付けられたのは、まさにブランディングの成果だと感じています。同じメーカーの商品を扱っている同業他社はほかにもたくさんありますが、既存の取引先からエコ資材に変えたいとの相談を受ける機会も増えつつあり、その背景にはweecoの存在があると思っています。

原口:当初より携わらせていただくなかで、だんだんとブランドが育っていく様子を目の当たりにできていることがうれしいです。今はカタログがメインですが、せっかくいいコンテンツをつくってきたのでウェブサイトにも転載できたらおもしろそうですよね。

澤田:それはぜひ実現したいです。最新号のデジタルカタログは掲載しているものの、過去のコンテンツが埋もれてしまうのはもったいないなと。また、ゆくゆくはグループ会社全体にもweecoブランドを展開できたらとも考えています。折兼が拠点としている東海エリアのみならず「エコ資材といえばweeco」とのイメージを全国に広げていきたいですね。

各ジャンルのプロが集結していることはLENSの強み

澤田:それにしても、LENSさんはいつもやりとりが丁寧で助かっています。特にカタログ部分は商品番号や価格など細かいやり取りが多いのですが、修正モレもほとんどないので今や全幅の信頼を寄せています。

原口:ありがとうございます。…と言っても実はカタログ部分は取締役の吉田が采配をとっているんです。彼はもともとカタログ制作を主とする会社にいたので、このジャンルはプロ中のプロ。僕たちはとても敵いません(苦笑)

澤田:そうなんですね!

原口:全体のアートディレクションや企画ページを担当する我々デザインチームと、カタログページを担当するDTPチーム、写真撮影まですべて内製できる会社はめずらしいと思いますし、LENSの強みでもあると自負しています。また、最近はディレクションを澤田(星)に任せることも多いのですが、彼女はvol.1の制作が始まる時期に入社してからずっとweecoにかかわっているのでブランドの理解度も深く、非常に心強いですね。

星:実は、vol.1には私と私の友人がモデルとして登場しているんです(笑)あくまで資材をメインとしたイメージカットなので顔は出ていないんですけど。

澤田:えー!どこですか!?ぜんぜん気がつかなかった!ご友人まで協力していただいて、本当にありがとうございます。

星:とんでもないです。私自身、このときはプロの撮影現場に同行するのが初めての経験だったのですごく思い出に残っていて。weecoの仕事は、アシスタント、デザイナー、ディレクターと、発行を重ねるごとに任せていただける範囲が広がっているので、僭越ながらweecoというブランドと一緒に成長させていただいているような気持ちでいます。

澤田:いやもうすごくしっかりしていると思いますよ。LENSさんからの提案ってすごく安心感があるんですよね。もちろん内容もそうなんですが、企画に対する説明資料もきれいにまとめてくださるので新しい取り組みであっても納得感がありますし、社内からの理解が得やすいと感じています。すべてを私ひとりで決めるわけではないので、提案を受けたあとのことまで考えてくださっているのはありがたい限り。大きな安心感があるからこそ、私もだんだんとweecoの権限を後輩に移譲し始めているところです(笑)

原口:そう言っていただけると非常に励みになります。これから先、weecoを10年20年と続くブランドに育てていけたらと思っていますので、末永くよろしくお願いします。

澤田:こちらこそよろしくお願いします。頼りにしています!

【クライアント】株式会社折兼
【プロジェクト詳細】 ネーミング|ロゴ|カタログ|ウェブサイト|その他ツール