70年周年式典に向け
ワークショップで見つけた
会社の本質と目指す未来

愛知県名古屋市に本社を構え、創業70年を迎えたコニックス株式会社。「ビルにまつわる100以上のサービス」を誇る総合ビルメンテナンス会社として、愛知・岐阜・三重を中心に着実な成長を続けています。

そんなコニックスが70周年を機に挑んだのは、単なる記念式典ではなく、会社の本質を見つめ直すブランディングプロジェクト。2025年3月から7月まで計8回のワークショップを通じて、創業期から現在までの歴史を振り返り、2029年までの5ヵ年ロードマップを策定した本格的な組織変革プロジェクトについてお話を伺いました。

左から、ブランディングディレクター井戸田莉菜、コニックス株式会社 執行役員 事業推進部長 森部早紀さん、コニックス株式会社 取締役 経営企画室長 森部隼さん、ブランディングパートナー上野莉央

外部の力を借りることで、自由に意見を出せるきっかけに

森部隼さん(以下 森部): LENSさんを知った最初のきっかけは、郵送で届いた漫画DMだったんですよね。周年プロジェクト担当者の記憶に残っていたところへ、タイミング良く上野さんから電話をいただいたと聞きました。そこから、「面白い会社があるよ」と紹介いただき、まずは式典をよりアップグレードしていくための相談をさせていただくことになりました。

上野: そうなんですよね!お電話をさせていただいたときに「DM見たよ!」と言っていただけて嬉しかったです。

森部早紀さん(以下 早紀): 弊社は周年以外の年も式典を開催しているのでノウハウの積み重ねはあったものの、式典そのものを自力でこれ以上アップグレードするのは難しいなと悩んでいたんです。一方、70周年という節目の年を迎えるにあたり、取り組み全体を進化させたいという強い想い思いを抱いていました。

井戸田: ヒアリング時にそうした要望もお伺いしていたので、70周年の式典アイデアだけでなく、その前の段階から取り組むワークショップも提案させていただきました。

森部: まさに、式典のアイデアをたくさん出していただいたこともありがたかったのですが、ワークショップのご提案に強く興味を惹かれました。私としては、「節目の70周年なので、いつも以上の式典をやります」という上っ面な話ではなく、もっと本質の部分から考えていきたいという想いがありました。70周年はあくまで通過点で、これから先も見据えた取り組みがしたいと検討していたタイミングだったからこそ、LENSさんとの御縁を感じ、LENSさんとなら一緒にいいものを創り上げられそうだとビビビッときたことを覚えています。

森部隼さん(右)楽天グループ株式会社で数々の実績を残した後、結婚を機にコニックスへ入社。
森部早紀さん(左)外資系コンサルティングファームや複数のベンチャーでキャリアを積んだ後、隼さんからのオファーで早紀さんもコニックスへ入社。

井戸田:実際にお話をさせていただくなかで、コニックスさんのワークショップは絶対に盛り上がりそう!という予感があったので、興味を持っていただけて嬉しかったです。

森部: 特に価値を感じたのは、現状の解像度を上げられることでした。「認識が曖昧で、それぞれ異なる理解をしている部分をきちんと合わせることができそう」という期待ですね。これまでの歴史を尊重しながら、次世代としての役割を果たしていくためには、トップだけで決めるのではなく、多くのメンバーが意見を出し合える“場づくり”も重要。

ただ、私がファシリテートしてしまうと、私に寄った意見が出てしまいがちなんですよね。なので、みんなが自由に意見を出し合える環境を作るには、内部だけで進行するより外部の力を借りた方が有効と判断しました。

早紀: 式典やイベントごとってどうしても単発の取り組みになりがちですが、ワークショップであれば、「未来を見据えて幅広く、かつ、継続的に活かせるんじゃないか」という点にも面白さを感じましたね。

世の発展のため、貪欲に進化し続ける偉大な企業に

井戸田: ワークショップでは、会社の歴史の振り返りから始まり、外部からのイメージや理想の姿、強みの分析、ターゲットとあるべき姿、5ヵ年ロードマップ、今年度取り組む具体施策、70周年式典に向けた具体案と、合計8回にわたって段階的に深掘りしていきました。

早紀: 今回は社歴の浅い従業員から役員まで幅広く参加してもらいましたが、私自身知らなかった創業期のエピソードが数多く出てきて非常に興味深かったです。曽祖父が戦後のタイミングで立ち上げたこの会社が、米国から伝わった委託式管理業の文化とともに、日本の高度成長期のビル需要拡大に乗ってどう発展してきたかを改めて理解する貴重な機会となりました。

森部: “外部からのイメージ”については、想像以上にコニックスの良い認知が拡がっていることを確認できた一方、課題も明確になりました。具体的には、プロジェクトメンバーから「友人に『〇〇(有名施設)もコニックスがやってるんだね、凄いね』と言われる」「CМの印象が強く、入社のきっかけにもなった」といった嬉しい共有もあれば、「コニックス=清掃会社というイメージで来られる方が多いが、実際のサービス範囲を伝えると、その広さに驚かれる」といった声もあり、“伸び代”がはっきりと見えました。

​​早紀: プロジェクトメンバーから出てきた社内評価としては、「従業員が“嬉しい”と思える工夫や仕掛けが多い」「これまで得たことのない経験ができる」「チャレンジングな風土がある」など非常にポジティブな声が多く挙がりました。また、現場スタッフからの「コニックスは研修も多く、営業が現場を適宜回ってくれるので、つながりを感じる」という声は、実際に働いてみて初めて分かる“コニックスの特長”を整理する上で役立ちました。

“理想の姿”については、「第一想起される企業」「信頼できる企業」「なんでも対応してくれる企業」という方向性が明確になり、「新規営業をしなくても、自然と問い合わせが次々に入ってくるレベルの信頼を得る」「自動車業界におけるトヨタのような、業界を代表する企業になる」といった目標の具体化も進みました。

また、自分たちが働く会社の理想像を議論した際には、「周りに自慢できる企業」「世界一働き続けたい会社」「正当に評価される環境」「家族からも信頼と支援を得られる会社」といったキーワードが自然に出てきたのですが、各メンバーの能動的な参加姿勢が見られて嬉しかったですね。

森部: “強み・弱みの分析”では、優位性・同質・劣位という3段階で徹底的に整理しました。優位性では営業力、特に「競争優位性の高い提案力」や「客室清掃の全国展開ノウハウ・スキル・マインド」、サービス品質では「高いサービス水準」「ブランド化された接遇サービス」などが挙げられました。人材面では「ハイレベルな採用の仕組」「異業種から来た転職者の活躍」といった強みがある一方、組織拡大に伴う人材育成や評価面での課題も、ざっくばらんなやり取りを通して、浮き彫りにしました。

その上で、「世界から信頼される企業」を目指すために、愛知を中心とした地域での確固たる地位に満足することなく、日本を代表する企業への段階的成長フローを描きました。また、単なる規模拡大ではなく、「世の発展への貢献」「常に進化」「働く人々の幸福感」などを大切にしようと目線合わせしました。中でも、私たちが特に重視したのは「決して上司に忖度しない『バカ者』」という表現で示した、自由で挑戦的な組織文化です。そして、「持続繁栄を自分ごととして捉え、現場を何より大切に、互いの強みを掛け合わせ、本質的・客観的・長期的に進化し続けるビジョン」を全員で共通認識化することができました。

立ち止まることなく、インナーブランディングを強化したい

早紀: また、ワークショップと並行してさまざまなクリエイティブ面での支援をしていただきましたが、LENSさんは人の気持ちの動かし方を本当によく熟知されていると感じました。ムービーひとつ取っても、空間全体で感じる音響効果や映像の見せ方、タイミングまで計算して、参加者の気持ちが自然と高まるよう設計していただいたおかげで、式典そのものが一体感のある体験としてアップグレードできたと思います。

森部: 当日の盛り上がりを見て、まさにこれがクリエイティブにこだわる価値だと実感しました。ワークショップを実施して終わりではなく、式典で使用するスライドのフォーマットやエフェクトの調整まで細かくサポートしていただけたことにも感動しましたね。

早紀: ワークショップから生まれた企画のおかげで、個人や現場改善の取り組みに対する表彰などこれまで見えにくかった部分にも光を当てることができました。全員が主役になれる式典として、社員一人ひとりの心に響く内容になったと思います。

上野: 私にとっては、担当させてもらった初めてのワークショップだったのですが、回数を重ねるごとにメンバーのみなさんの積極的な発言とアクションがどんどん増えていったのが印象的でした。ワークショップでの議論を重ね、ビジョンを共有した上で式典の具体施策に入っていったことで、「資料をここまで仕上げたので、後はお願いします」「○○さんが次回お休みなので、この部分まで完成させておきます」など、全員が自分ごととして協力し合って進行していくことが当たり前になっていましたよね。

森部: 相手への信頼、チームメンバーを信じているからこそ安心して任せることができる。そういった支え合える関係性が自然と構築されたのも、ワークショップで得た財産ですね。

早紀: ワークショップが始まる前から「困ったときに素直に『助けて』と言える雰囲気づくり」を大切にしたいと思っていたのですが、気づけば自然とそうした雰囲気が醸成されていましたね。

森部: このプロジェクトを通じて、共通の目標設定がいかに重要かを痛感しました。今年度の式典は終えましたが、インナーブランディングとしての取り組みはまだまだこれからです。ここで立ち止まることなく、継続的な組織発展に向けてさらなる取り組みを進めていきます。

早紀: 今回策定したビジョンを一過性のものにしないよう、5年間をかけて着実に実現していくことが重要です。ワークショップで描いた理想の姿に向けて、具体的な行動を継続していきます。

森部: 細かい部分まで一緒に走っていただけたおかげで、期待を超える良い取り組みになりました。泥臭い部分まで含めてサポートいただけるパートナーシップに、本当に感謝しています。

井戸田: LENSとしても、今回のプロジェクトは本当に充実した時間でした。70周年という節目を機に、単なる式典ではなく真の組織変革に挑戦されたコニックスさんの姿勢から、私たちも多くを学ばせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。

プロジェクトメンバーの方々とともに