「夢中をシカケる。」の
タグラインに込めた
新たなブランドストーリー

今回のお客さまは、静岡県藤枝市の老舗企業、株式会社バーチュー(VIRTUE)さま。約70年前「藤枝事務器商会」という名で事務機器販売からスタートした同社が「オフィスデザイン×システムデザイン(DX)」へと事業を拡大する中で生まれた課題は、「社名と事業内容のミスマッチ」でした。
LENS ASSOCIATES(以下 LENS)との出会いのきっかけは、会社のリブランディングをさまざまな角度から検討したい、との理由から。自社を振り返るワークショップから始まったプロジェクトのなかでさまざまな意見が挙がり、社名変更やタグライン・MVV制作、ウェブサイト刷新を含めた会社全体のブランディングにつながりました。

名刺交換で感じた違和感から、社名変更も視野に
井戸田: 本日はお忙しい中、ありがとうございます。まずは、リブランディングプロジェクトのきっかけからお聞かせください。最初、LENSのクライアントでもある株式会社オリバー※さんを通じて問い合わせいただいたんですよね。
※株式会社オリバー:オフィス、ホテル、レストラン、商業施設、医療施設などに向けたインテリアの製造・販売企業
https://www.oliverinc.co.jp/
村松さん(以下 村松): そうですね。「リブランディングしたい」という漠然とした考えをオリバーさんに相談したところ、LENSさんを紹介いただきました。
それまでにも、名刺やウェブサイトのリニューアルは自社でちょこちょこと手を加えていたんですが、限界があるなと感じていて。これから先の事業の展開を考えると、もっとクオリティを上げなければいけないと感じたことがきっかけでした。
井戸田: その時点では、まだ社名変更は考えていらっしゃらなかった?
村松: そうですね。先代から会社を引き継いだタイミングで社名変更の可能性を考えなかったわけではないのですが、やはり歴史ある社名ですし、決断しきることはできませんでした。
プロジェクトに入る前、(LENS代表の)矢野さんと何度も打ち合わせをさせていただき、いろいろ話していくなかで「やはり社名を変えるという可能性も視野に入れながらリブランディングを考えたほうがいいのかな」と改めて思うようになりました。特に課題感として感じていたのは、他エリアで名刺交換するときの印象です。「藤枝事務器商会です」と名乗るとどうしても「事務機屋さん」というイメージを持たれ、その場で断られてしまうことも。肌感覚ではありますが、第一印象による機会損失があるような気がしていたんです。

和田さん(以下 和田): 私は転職でこの会社に入ったんですが、最初に会社を見つけたときは「藤枝事務器」という名前だったんです。「レトロな会社名だな」とは思いましたが(笑)、ウェブサイトやブログではさまざまな技術の話が紹介されていたので、逆に「歴史が長いうえに新しいことを手掛けていて、すごく面白そうな会社だな」と思ったんですよね。
池谷さん(以下 池谷): 入社からずっと「事務器さん」と呼ばれ親しまれていたので、わかりにくいと思われているのだとはあまり気づいていませんでした(笑)。オフィスデザインとシステムデザインの両方をやっているところって意外と少ないと思うんですが、確かに「事務器」の言葉からはイメージがつながりにくかったかもしれないですね。
井戸田: プロジェクトが始まってまずはHi-AT®︎(ハイアット)分析※からスタートさせていただきましたが、かなり最初の段階から「オフィスデザイン ✕ システムデザイン(DX)」が御社の強みだと明確になっている点が印象的でした。
※Hi-AT®︎(ハイアット)分析:LENS ASSOCIATES代表の矢野まさつぐが企業やプロダクトのブランディングを手がける中で開発した、「やるべきことにピントを合わせる」ためのフレームワーク
村松: 強みになり得るなと感じていた部分が、Hi-AT®︎分析を通じてやはりそうだとはっきり感じられて非常によかったです。
「オフィスデザイン ✕ DX」をひとつのパッケージとして事業ブランドをつくるのか、それとも会社名を変えてリブランディングをおこなうのか…強みがしっかりわかった時点でもまだ悩んではいましたが、やはり当初からあった「藤枝事務器商会」という名前ではなかなかその価値を伝えきれない、という実感が社名変更を後押ししてくれました。
ただ、最終的な決定までには半年ぐらいかかりましたね。やはり70年続いた社名を変えるというのは、なかなか大きな決断でした。
池谷: 私も20年以上この会社に勤めているのでやはり愛着はありましたし、変えることへの不安もありました。でも、ワークショップを重ねる中で、やはり変える必要があるんだなと感じるようになりました。
和田: 私はまだ入社して日が浅かったので「会社のよさが伝わらないほうがもったいないから、思い切って変えちゃってもいいんじゃないかな」と思っていました。口には出しませんでしたが(笑)

井戸田: 新しい社名を決めるワークショップでは、みなさんから予想以上にたくさんのアイデアが集まったので驚きました。
村松: 本当にゼロベースで、みんなでアイディアを持ち寄りましたよね。
池谷: 実はAIに助けてもらいながらアイデアを出しました(笑)。システム側の人間なので、ショートカットキーみたいなネーミングもいいかなとか。「Ctrl」や「Command」が入っていたりとか。
デジタル領域も空間である、という考え方から「メモリ」「スペース」という言葉を使ったり、 「Join」「Connection」というキーワードから派生した案も提案しました。自由に考えてOKとのことだったので楽しかったですね。

村松: オフィスデザイン×DXという事業内容から連想するものだけじゃなくて、「繋いでいく」「寄り添っていく」というような、会社の在り方を表すような言葉もたくさん出てきたのがすごくうれしかったですね。みんなそんなに会社のことを考えてくれていたんだ…と感動しました。
5案ぐらいまで絞られたなかで「最終的にどうやって決めればいいんだろう」となったときに、矢野さんから「最終的には社長が『これで行く』と思えるものがいいんじゃないか」という提案をいただきました。でも、自分が出したアイディアを自分で選ぶというのは、すごくワンマンな感じがして悩みましたね。みんなすごくアイディアを出してくれているのに、最終的に自分のものを選ぶというのは…。
池谷: 「みんなが出したものを選ばないなんて!」みたいな雰囲気はまったくなかったですよ(笑)。社長が好きなものを選ぶほうがいいと思っていました。
和田: もしあまりにもひどいものだったら反対していたかもしれませんが(笑)、「VIRTUE」は響きがいいなと思いましたし、聞いたことがない言葉というのも、逆にありかなと。
村松: そう言っていただけて安心しました。でも、やはり一人で決めていいのかという葛藤は最後まであって…。結局、自分が一番しっくりくるものを選ばせていただいたんですが。
井戸田: 「VIRTUE」とはどういう意味なんでしょうか?
村松: 英語で「徳」とか「美徳」という意味なんです。私の祖父でもある創業者の名前が「村松徳」なので、歴史を引き継ぐという意味でもぴったりじゃないかなと。実は、AからZまで単語を調べたんですけど、「聞きなじみがないけどなんとなく言いたくなる語感」も決め手のひとつでした。
「バーチュー」と「ムチュー」をかけたタグライン
三浦: 実は今だから言えますが、「バーチュー」という新社名を聞いたときの第一印象は「大丈夫かな?」だったんです。でもLENSのコピーライターである古屋から「夢中をシカケる」というタグラインが挙がってきたときに、めちゃくちゃしっくりきて。「バーチュー」と「夢中(ムチュー)」がかかっているんですよね。


村松: まさに、タグラインとセットになってやっと、新しい社名が完成したような感覚になりました。めちゃくちゃ感謝しています。
池谷: 私も、最初「バーチュー」って聞いたときはあんまりピンときていなかったんですけど、タグラインが出てきてからようやく受け入れられました。
村松: そうだったんだ(笑)。
「シカケる」という言葉も秀逸で、オフィスデザインとDXという、一見違う分野を掛け合わせている事業内容を端的にあらわしてくれているなと。MVVと合わせて、非常に我が社らしい言葉をプレゼントしていただいたなと思っています。
和田: ワークショップを通じて、「今後こうありたい」「こんなイメージを持ってもらいたい」という議論をみんなでできていたからこそ、満場一致でこのタグラインに決まったんだと思います。
村松: 将来的にはオフィスデザインとDXにとどまらず、もっと会社全体のブランディングなども含めてやっていきたいという想いもありました。だから、タグラインそのものではあまり事業を絞りすぎない方がいいんじゃないかと思っていたんです。これからどのように事業が拡がっても使い続けられますし、いろいろな可能性を秘めた素晴らしいタグラインだと思います。
三浦: タグラインと並行して、ロゴデザインも手掛けさせていただきました。最初は宮本さんにお願いして、4つくらいの方向性からいろんなパターンを考えてもらいました。
宮本: 村松さんの好みをおうかがいし、高級感のある洗練されたデザインを中心に提案していました。散々考えて提案したんですが…。
井戸田: 三浦さんが前日に「これも追加したい」と言って自身のデザイン案を持ってきたんですよね(笑)
三浦: 「夢中をシカケる」というタグラインを受けて、高級感だけじゃなく、もう少し遊び心があってもいいかもな…となんとなく考えていたら、前日ぐらいに急にひらめいてしまって(笑)
宮本さんを立てたい気持ちもあったんですが、やっぱりこれも出したいなと思って僕が提案した一案が採用されてしまいました。宮本さん、ごめん。
宮本: 正直、ショックでしたが(笑)、見た瞬間に「これは負けた」と思いましたね。


池谷:宮本さんのデザインも素敵で、社内の投票時点では一票差くらいだったんですよ。最後は社長に決めていただいたという感じです。
村松: 社名と同じく、一存で決めさせていただきすみません。心電図のようなアクセントの躍動感と、タグラインとマッチしているなという印象が決め手でした。
でもその後、宮本さんにはクオリティの高いウェブサイトを仕上げていただいたんですよね。
宮本: そこはリベンジじゃないですけど(笑)、すごく頑張りました。「夢中をシカケる」というところをどう表現するかということと、動きのある表現にこだわって制作しました。
三浦: ウェブサイトだけじゃなくて、モーショングラフィックスの絵コンテも宮本さんがイチから担当してくれましたからね。
宮本: 「夢中をシカケる」をタグラインとして展開するなかで、動きのある表現を通じて「シカケる」というコンセプトをより分かりやすく伝えられないかと考えました。基本的にはステートメントに合うようなモーションを、ロゴを使って表現するということでスタートしました。

井戸田: コーポレートカラーが5色というのも珍しいですね。
三浦: これは、バリューを決めた後で提案したんです。それぞれのバリューに色の名前をつけて、それをコーポレートカラーにしてはどうかという提案でした。
村松: 最初はグレー一色しか頭になかったんですが、5色という提案をいただいたときは新鮮でした。それぞれのバリューに意味があって、何となく5色じゃなくて、ちゃんと意味のある5色だったので。
和田: ウェブサイトもカラフルになって、今までにない感じでしたね。
村松: 動画はミッション・ビジョン・バリューの社内浸透にも活用していますし、新しいお客様への説明にも使っています。
和田:セミナーのオープニングでも流したりしていますよ。
池谷: この間のAIセミナーでも使いましたね。反応はなかなか良かったです。
3ヶ月で浸透した新社名の威力
井戸田: 4月に社名変更を表明されてから、社内外の反応はいかがですか?
村松: 意外なほど早く浸透しているな、というのが正直な感想です。すでに多くの人が「バーチューさん」と呼んでくれて。行くところ行くところで話題にしてくれるのでありがたいです。
池谷:これまで、他の会社の社名変更の通知をもらってもそんなに興味を持たなかったんですが、みんなが興味を持ってくれていることが意外でうれしいですね。
和田: 初めて名乗るときには聞き返されることもありますが、一度覚えてもらえれば忘れられないみたいです。電話でもスムーズですね。
村松: そうですね。周囲から「バーチューって覚えにくいよね」と言われるんですが、みんなすでに口に出しているってことは覚えてくれている証拠(笑)。言いにくいと言いながらも、結果的には覚えてもらえているんだなと満足しています。
和田: 口に出したときの語感がいいんだと思います。一度聞いたら忘れないですよね。
井戸田: 最後に、このリブランディングプロジェクトを振り返っての感想をお聞かせください。
和田: 本当に楽しかったです。みんなと一生懸命考えることで、自分にはない引き出しからのアイデアにふれることができました。今後も何かプロジェクトがあれば、ぜひお願いしたいです。
池谷: デザインも好きなので、レベルの高いデザインや考え方が自分の会社のものになるというのはすごくうれしかったですし、これを機に「藤枝事務器」の時代からステップアップできたんじゃないかなと感じています。
村松: ただ社名を変えるだけでなく、私たちの想いを理解してカタチにしてくれたLENSさんには本当に感謝しています。今回のプロジェクトで、「リブランディング」が会社に与えるインパクトを目の当たりにできました。
今後さらにオフィスデザインとDXという強みを活かして、まずは静岡県を代表する企業になりたいと思っています。バーチュー(VIRTUE=美徳)という名前に恥じないよう、お客さまにも自分たち自身も「夢中」になれるような仕事をしていきたいですね。
井戸田: こちらこそ、素晴らしいプロジェクトに関わらせていただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
【クライアント】株式会社バーチュー
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